人材の問題を解決するたったひとつの考え方

ame kawara
温浴施設のスタッフ雇用条件はライフサイクルがまだ成長期だった頃とあまり変わっていません。

結果としてよく耳にするのは、
「よい人材が来てくれない。」
「採用してもなかなか定着してくれない。」
「募集費をかけても応募がない。」
「退職と採用の繰り返し、気がついたら募集費がとんでもない…」
といったボヤキです。

考えてみれば当然のことですが、小売店や飲食店が人材確保で苦労している時に、温浴施設はそれらより仕事が複雑で、条件面で見劣りする形で募集活動をしていても、うまく行くはずがないのです。

最近、サービス業の人材確保難が話題になることが増えています。大手飲食チェーンではパート・アルバイト不足で営業が継続できなくなる店舗が出てくるなど、事態は深刻です。

「ブラック企業」と名指しされ、人材流出が止まらなくなった企業は、あわてて雇用条件や労働環境の改善を進めているようです。

サービス業の急激な人手不足の理由は、部分的な景気浮揚によって働き口が増えて、時給高めの業種へと流出してしまったことなどが指摘されていますが、温浴業界にとっては、人材不足は今に始まったことではありません。

その昔、温浴施設が装置産業と呼ばれ、それなりのマーケットボリュームのある立地に適切な施設計画で作れば比較的簡単に事業として成立した時代には、温浴施設の運営スタッフは単なる作業要員と考えていた企業も多かったのかも知れません。

最低賃金に近い時給水準でも、スタッフの頭数さえ確保していれば運営に大きな支障は生じなかったのです。

しかし今は時代が変わりました。優れたハードに加えて、それを効果的に運用するノウハウ、そして接客サービスやイベントなど、ソフト部分での実力とそれを継続する努力がなければ、体験を重ねて目の肥えた消費者を満足させ、固定客化させることは困難な時代に変わってきています。

この問題を解決するのは、もっと上手な採用ノウハウでしょうか?雇用条件の見直しでしょうか?

確かに募集広告の出し方を工夫すれば応募を増やすことができるでしょうし、時給など雇用条件を良くすれば人材不足は少し改善するかも知れません。しかし、残念ながらいずれも根本的な解決ではないのです。

そもそも単純に時給アップすれば、そのまま人件費増に直結します。それができるほどしっかり利益が確保できていない場合はどうしようもありません。

 今さら当たり前のことを言うようですが、人材の問題を解決するたったひとつの考え方は「従業員満足」です。

いつも言っていることですが、温浴施設がいくら上手に広告宣伝したり、楽しいイベントを開催して集客できたとしても、肝心の利用満足度が高くなければお客様は定着しません。いくらビッグイベントをやっていても、浴室が不衛生だったり、食事が不味かったイメージを思い出したら、また行きたいとは思わないのです。

それと同じことで、従業員満足度が上がらない限り、人材の定着率もモチベーションも上がりません。そして顧客満足度の高い環境やサービスは、優秀な人材の力があるからこそ提供できるのです。

しかし、はじめからモチベーションが高くて、会社批判や仲間の悪口を言わず、ウソをつかず、いつも全力で仕事をする優秀な人材など、そうは居ません。

むしろほとんどの人は、できればサボりたいし、楽をしたいし、気にいらないことがあれば不平不満を言いたいし、都合の悪いことはごまかそうとウソもつくでしょう。

それが人間というものです。

一方で、理念に共感できる会社で働きたい、仕事を通じて自分も成長し社会に貢献したい、評価されることでもっと頑張ろうと思う、それも人間にほぼ共通した感情です。

温浴施設の運営に特別な才能や高学歴は必要ありません。都合良く優秀な人材を選り分けて採用しようとするのではなく、どんな人でも前向きな気持ちを持って長く勤めてくれれば、結果としてそれが最も優秀な人材なのです。

 今から15年以上前のことですが、関西のある大型温浴施設では、徹底的な独立採算制の確立に取り組んでいました。

社内のセクションをすべて独立採算とし、飲食やマッサージだけでなく、ランドリー事業から園芸事業までもすべて独立部門として、全社的に経営者感覚で仕事に取り組もうという試みでした。

社内には自店の業績に責任感を持つ店長がたくさんいることになります。店長は仕事の結果がダイレクトに自分に跳ね返ってきますので、真剣になります。

この大型温浴施設は日本一と言ってよい素晴らしいサービスレベルと高客単価を実現していました。

私にとって、これが温浴業界で本気でマネジメントに取り組んでいるのを見た最初の事例であり、強い衝撃を受けました。

 最近、関東の日帰り温泉の経営者とお話ししていて、その時と同じくらい衝撃を受けたことがあります。

その会社では、200名以上いるパートアルバイトを含む全従業員の誕生日に、支配人がスタッフの自宅を訪ねて、社長からひとりひとりに向けたメッセージと温泉施設の優待券、そしてバースデイケーキを届けています。

本人だけでなく、家族も大喜びです。「うちのバカ息子にこんなことまでしてもらって…」という感謝と感激で親御さんが泣き出してしまうこともあるそうです。

誕生日プレゼントだけではありません。lineを活用したきめ細かい社内コミュニケーション、仕事レベルに応じて設定された評価制度、スタッフ研修や社内表彰制度など、マネジメントに取り組む本気度が一般的な温浴施設のレベルとは段違いです。

この会社が運営する日帰り温泉施設の顧客満足度は、日本でも間違いなくトップクラスです。

 人材確保の問題に悩む時、「結局もっと時給を上げるしかないのか…」という声を聞きます。もちろん仕事の大変さに応じた適切な報酬があることは大切ですが、「金目の話」よりももっと大切なことがあるのです。

そこに目を向け、マネジメントの改革に本気で取り組んで行かない限り、温浴業界は永遠に「人手が足りない→補充採用→新人ばかりでサービスレベルが上がらない→売上が上がらないから人件費は抑えたい→定着しないのでまた募集」という悪循環から抜け出せないのです。

休館日のスタッフ研修や評価制度づくりなど、お気軽にご相談ください。>>>

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『温浴事業の発展 = 温活の普及が人類を幸福にする!』 と信じる男の仕事日記。 株式会社アクトパス(業務用通販サイト:浴場市場) 代表取締役 温浴ビジネスプロデューサー 望月 義尚 東京都中央区銀座3-11-5 第2中山ビル7階 TEL:03-3524-2681 FAX:03-3547-6126
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